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Yuya Miyazaki
Conductor
Blog
音楽の、その先にあるもの。
Beyond the music, something yet to be named.



芸術家という、奇妙な肖像。 | The Curious Portrait of an Artist
芸術家という、奇妙な肖像。 芸術家には、どうやら決まった肖像があるらしい。 少し気難しく、自己中心的で、周囲を振り回す。社会の常識から離れ、自分だけの世界に生きている。 そんな人物に、私たちはどこか芸術家らしさを感じてしまう。 とりわけ日本では、その輪郭が妙にはっきりしているように思う。 芸術には、ある種の狂気や執着が必要なのかもしれない。 誰にも理解されない感覚を信じ、見えない何かを追い続ける。その姿は、時に常識から外れて見えるのだろう。 けれど、芸術への執着と、他者への無関心は、同じものなのだろうか。 アメリカで音楽を学んでいた頃、さまざまな音楽家に出会った。 驚くほど知的で、数学や科学にも関心があり、穏やかで、人懐っこく、周囲から深く尊敬されている人たち。 その一方で、ひとたび音楽に向き合うと、普段の姿からは想像もできないような厳しさや、異様なまでの集中力を見せることがあった。 その二つの顔は、不思議と矛盾していなかった。 むしろ、ひとりの人間のなかに、静けさと激しさが同居している。 そんな光景を、何度も見たように思う。 性格も、価値観も、
12 時間前読了時間: 4分


ベートーヴェンは、最初の5小節で何を壊したのか。 / What Did Beethoven Break in the First Five Bars?
ピアノ協奏曲第4番 ト長調 Op.58 ベートーヴェンという人は、どうやら「普通に始める」ということが苦手だったらしい。 交響曲第1番。ハ長調という、ある意味もっとも基本的な調性を選んでおきながら、冒頭で鳴らすのは主和音ではなく、ヘ長調へ向かう属七の和音。いきなり聴き手の足元を揺さぶってくる。 では、ピアノ協奏曲第4番はどうだろう。 協奏曲といえば、まずオーケストラが主題を提示し、そこへ独奏者が登場する。いわゆる「二重提示部」という、当時の古典派協奏曲の基本的な形式である。 ところが、この作品。 いきなりピアノが弾き始める。 しかも、華々しい技巧を披露するわけでもない。p dolce(弱く、優しく)。ト長調の主和音を中心とした、ごく静かな語りかけ。 おいおい、協奏曲だろう。 そんな声が聞こえてきそうだが、本当に驚くのはその直後である。 ピアノがト長調で語り終えると、ようやくオーケストラが応答する。 ところが、その調性はロ長調。 G majorからB majorへ。主音は長3度も離れ、両調の主和音に共通する音はわずかひとつ。まるでピアノの言葉が、ま
1 日前読了時間: 4分


大東市、近くてまだ知らない音。 / Daito: Close to Home, a Sound Yet to Discover
天王寺から意外なほど近い大東市へ。サーティホールで、来年のコンサートに向けた構想が少しずつ輪郭を見せています。
2 日前読了時間: 2分


京都市、その先の文化を聴く。 / Kyoto City: Listening for What Comes Next
京都には、まだうまく言葉にできない気配があります。 長い時間の中で受け継がれてきたものと、これから生まれようとしているもの。その間に、ふと耳を澄ませたくなる瞬間があります。 私というと大阪のイメージが強いかもしれませんが、今、京都市の文化政策にも関わらせていただいています。「第3期 京都文化芸術都市創生計画」の策定に向けた、政策部会での議論です。 京都は、私にとってまだ知らないことの多いまち。だからこそ、少し外から眺めたり、一歩引いて全体を見渡したりしながら、その魅力や課題について考えてきました。知っているつもりにならず、問いを持ち続ける。そんな距離感も大切にしたいと思っています。 「つなぐ千年 つくる千年」。 計画案に掲げられたこの言葉の先には、まだ聴いたことのない音楽のような、余白がある気がします。誰が文化に出会い、誰が支え、どんな新しい表現が生まれてくるのか。その続きをつくるのは、このまちに関わる一人ひとりの声なのでしょう。 これからも大阪と東京を拠点に音楽活動を続けながら、その間にある京都からも、刺激やインスピレーションを受け取っていたい
2 日前読了時間: 2分


まだ出会っていない誰かへ。 / To Someone I Have Yet to Meet.
音楽は、どこまで届くのだろう。 大阪フィルハーモニー交響楽団の「次世代育成プロジェクト」が発表され、公式サイトも公開されました。私は2027年度より、プロジェクトリーダーに就任する予定です。 私にとって、憧れの大フィル。その豊かな響きに、まだ出会っていない人がいる。そのことに、この取り組みの大切な意味を感じています。 音楽に出会う機会は、思っているほど等しくありません。暮らす場所、経済的な事情、身近に誘ってくれる人がいるかどうか。「自分が行ってもいい場所なのだろうか」という、目には見えない距離もあります。 そうした文化格差を、少しずつ小さくしていきたい。 そのために、音楽の質を薄めるのではなく、大フィルが積み重ねてきた深さや豊かさを、そのまま届けたい。初めて聴く人にも、長く音楽と暮らしてきた人にも。誰もが等しく、その響きに触れられるように。 同じ音を聴いても、心に生まれる物語は一人ひとり違う。それでいいのだと思います。等しくひらかれた入り口の先で、それぞれの出会いが育っていく。そんな風景を、つくっていけたら。 大阪の街で、まだ顔も名前も知らない誰
3 日前読了時間: 3分


風のつくる風景 — 鳥取砂丘 / A Landscape Shaped by the Wind — Tottori Sand Dunes
ふと思い立って、鳥取へ。 久しぶりに訪れた鳥取砂丘。 風が描いた砂の模様も、雲のかたちも、次に来るときにはきっと違うものになっている。 果てしなく続くような砂の斜面を、人々がそれぞれの歩幅で登っていく。 見慣れない風景の中にいると、普段とは少し違った時間が流れているように感じます。 何をするでもなく、ただ風景を眺める。 そんな時間も、たまにはいいものです。 English On a whim, I went to Tottori. Back at the Tottori Sand Dunes after a long time away. The patterns the wind has drawn in the sand, and the shapes of the clouds, will surely be different the next time I come. People climb the seemingly endless sandy slopes, each with their own stride. In
10月19日読了時間: 1分


はじめに / To Begin
音楽や芸術、文化について。ときにはもう少し大きなことについて。 そんなことを、これから少しずつ書いていこうと思っています。 日々の中で考えていることや、ふと浮かんでは消えていく感覚、うまく言葉にならないものや、まとまりきらない思考。 本来であれば、きれいに整理してから外に出すべきなのかもしれないけれど、あえてその手前の状態のまま、このインターネットという広い大海原にぽつぽつと投げ込んでみることにしました。 誰かに読まれることを前提としているわけでもなく、かといって完全に独り言というわけでもない。 どこかに漂って、誰かの目に触れることがあるかもしれないし、ないかもしれない。 そのくらいの距離感で、自分の頭の中を少しずつ外に出していく場所にできたらと思っています。 内容としては、音楽のこと、舞台のこと、文化や社会のこと。ときには、もっと抽象的で、大きな話になることもあるかもしれません。 逆に、どうでもいいようなことや、途中で考えが止まったままのものも、そのまま残していくと思います。 いわばこれは、思考のログのようなものです。 あとから読み返したときに
4月24日読了時間: 3分
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