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Cultural Policy

文化芸術が社会に果たす役割は、単なる娯楽や装飾的な価値にとどまりません。それは、地域社会の絆を深め、新しい価値観を生み出し、私たちの未来を形作る力を持っています。このような文化芸術の力を最大限に活かすためには、政策と現場をつなぎ、適切な環境を整えるための専門的な視点が不可欠です。文化政策・アートマネジメントの専門人材として、多様なステークホルダーと協働しながら、この使命に取り組んでいます。

 

文化事業の企画から実施、評価までの一貫した支援を通じて、文化事業や文化施設等が本来の価値を発揮できるよう働きかけています。現場では、行政や納税者、スポンサー企業等の多様な期待と、文化芸術関係者の創造的な思想が衝突することも少なくありません。しかし、そのような状況こそが、新しい可能性を模索し、調整役としての専門性を発揮する場です。現場のリソースや制約を活かしつつ、単年度決算という日本独特の制度に即した実効性のある実施運営計画を策定し、限られた時間の中でも最大限の成果を目指します。

 

また、文化事業の価値を見える形で社会に伝えることも重要です。事業評価や政策提案を通じて、その成果を可視化し、文化芸術が社会にとって不可欠な存在であることを広く共有します。

 

ここでアーツカウンシルや審議会などのような独立した専門家組織が担う評価機能が大きな役割を果たします。市場原理や政治的思想から独立した評価を行うことで、公的資金投与の説明責任を確保し、市場で「無駄」とされがちな非営利文化芸術を基礎研究的存在として保護するのです。

 

非営利的であるからこそ、こうした文化芸術活動は新たなアイデアや表現手法を生み出し、後に商業的・興行的な文化活動、あるいはクライアントワーク型のクリエイティブ領域を支える「土台」となっていきます。すなわち、非営利文化芸術が多様な試行錯誤や実験を通じて創出する潜在的な価値は、将来「稼ぐ文化」を生むための源泉ともなり得るのです。こうした仕組みを背景に、独立機関が評価を行うことで、納税者や資金提供者の理解を深め、文化芸術を支える基盤を一層強固にします。

 

同時に、公共事業としての文化事業においては、その評価方法が一層重要性を増しています。誰が、いつ、どのタイミングで、どのように評価を行うかは、地域が有する文化資源や、自治体が掲げる政策・推進体制によって大きく異なります。そのため、その場・その時に即した評価体制を考えることが、文化政策推進の第一歩と言えるでしょう。

 

さらに、評価や政策立案の過程では、専門家だけでなく、実施自治体や市民など、多様な主体が共創のスタンスで関与することが求められます。それぞれが自らの地域社会の文化や芸術のあり方を主体的に考え、対話し、共有していくことで、非営利的な文化芸術から生まれる豊かな蓄積が活かされ、その結果、公共・民間を問わず文化芸術が持続的に支えられる仕組みづくりにつながります。

 

文化政策の現場で求められるのは、現実的な制約と文化芸術の本質を結びつけ、新たな価値を創出する柔軟なアプローチです。文化政策・アートマネジメントの専門人材として、未来を見据えた文化事業を形にするため、多様な視点と創造性を結集させ、地域社会と文化芸術の新しい関係を築くことに全力を尽くしています。この取り組みを通じて、文化芸術が社会全体に波及し、人々の暮らしをより豊かにする可能性を探求し続けます。

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