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音楽って、なんなんだろう。

音楽って、なんなんだろう。


そんなことを、わりとずっと考えながら、音楽をしています。


アメリカにいた頃は、プロ・オーケストラのアシスタントコンダクターを務めたり、音楽鑑賞教室で指揮をしたり、オペラの現場で下振りをしたり、ユースオーケストラや大学で指導したり――


いろんな立場で、いろんな現場に関わってきました。


演奏する側、教える側、支える側。


どこに立っても、音楽は音楽なんだけれど、見え方は少しずつ違う。


その違いが、ずっと引っかかっていたような気がします。


日本に帰ってきてからは、特にオペラに深く関わるようになりました。


その中でも、「市民オペラ」と呼ばれる日本独特の形に触れたとき、


ああ、音楽ってこういうものでもあるんだな、と改めて思いました。


市民オペラは、プロだけでつくられるものではなくて、


合唱として参加する人もいれば、舞台の裏方として関わる人もいて、制作や広報、運営に関わる人もいる。


観客と演奏者、という分け方だけでは説明できない関係が、そこにはあります。


そしてそのプロセス自体が、


誰かにとっての「居場所」になっている。


それは、単にいい公演をつくる、という話だけではなくて、


もう少し生活に近いところにある文化のかたちなんじゃないか、と思うようになりました。



ちょっと話が飛びますが、


自分の音楽の考え方に影響を受けている指揮者がいます。


セルジュ・チェリビダッケと、レナード・バーンスタインです。


チェリビダッケは、音楽はその場でしか成立しない、一回性の現象だと考えていました。


録音ではその本質は捉えきれない、と。


「音楽の神秘をパンケーキみたいに押しつぶすことはできない」

という、強烈な言葉も残しています。


一方でバーンスタインは、


「音楽は言葉にできないものに名を与え、知られざるものを伝える」

と言っています。


音楽は、人の内側にあるものや、まだ言葉になっていないものを、誰かに届ける力を持っている、と。


この二つ、方向は違うように見えて、


自分の中ではひとつにつながっています。


音楽は〈ここ・いま〉にしか存在しない。


でも同時に、それは人と人をつなぐものでもある。


だから、音楽は個人的な体験でありながら、


どこか社会的なものでもあるんじゃないか、と。


そう考えると、音楽や舞台芸術って、


演奏者と観客の間だけで完結するものではない気がしてきます。


もう少し広いところで、誰かの記憶に残ったり、


別の場所で誰かの行動につながったりして、


時間をかけて積み重なっていく。


その積み重ねが、たぶん「文化」と呼ばれるものなんだと思います。


プロの現場でも、「いい音楽」を追い求めないと、


ただ上手に再現しているだけのものになってしまう。


音楽は「聴かせる」ものではなくて、


「聴いてもらう」ためにある。


そのためには、音楽の中だけで完結するのではなくて、


社会との接点に開いていくことが必要なんじゃないか、と感じています。


最近は、文化や芸術を公的に支える意識が、少しずつ弱くなっているようにも思います。


でも、音楽が社会の中でちゃんと機能していけば、


それは誰かにとっての「必要」になっていく。


必要なものは、ちゃんと残るし、支えられる。


そうやって文化は続いていくんじゃないかな、と。


「クラシック音楽は輸入文化だ」と言われることもありますが、


いまやそれは、どこか一つの地域のものではなくて、世界中で共有されているものです。


それぞれの場所で、それぞれの形で関わりながら、少しずつ変化している。


そういう意味では、クラシック音楽は、


世界の中で共通の基盤のようなものになっているのかもしれません。



……少し話が大きくなりましたが(笑)


こんなことを、日々ぼんやり考えながら、


指揮をしたり、現場に関わったりしています。


オペラでも、オーケストラでも、吹奏楽でも、合唱でも、


どんな場所にも、それぞれの面白さがあります。


その中で、音楽と社会のつながりを、少しずつ探っている感じです。


音楽と社会のあいだに、何か新しい可能性があるとしたら。


たぶん、そういうところにあるんだろうなと思っています。


とりあえず、そんなことを書いてみました。


これからも、もう少しラフに、


思ったことをグダグダと書いていこうと思います。

 
 

 © 2013 by Yuya Miyazaki

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